SUS836Lとはなんですか?

SUS836Lは、ステンレス鋼の一種で、主に耐食性と耐熱性が優れたオーステナイト系ステンレス鋼です。具体的には、SUS836に**低炭素(L: Low Carbon)**を示す「L」が付いたバリエーションです。この「L」によって、炭素含有量が低く、溶接後の耐食性が強化されています。

SUS836Lの特徴:

低炭素含有量: 炭素含有量が0.03%以下に抑えられており、溶接や熱処理後に炭化物が析出するのを防ぎ、耐粒界腐食(溶接後の腐食)に対して高い耐性を持っています。

耐食性: SUS836Lは、特に強酸性環境や海水環境での耐食性が高く、SUS316LやSUS317Lと同様に、塩化物や酸に対して優れた耐性を持っています。

耐熱性: 高温環境下での性能が良好で、酸化や腐食に対する耐性があり、長期間の高温曝露にも耐えられます。

機械的特性: 高い強度と延性を持ち、加工性や溶接性も優れています。溶接後の耐食性も高く、複雑な形状の製品や構造物に適しています。

主な用途:

化学工業: 強酸性や腐食性の高い環境で使用される配管、タンク、反応器などに適しています。

海洋構造物: 高い耐塩分性により、船舶や海洋構造物の部品として使用されます。

食品加工装置: 高い耐食性が求められる食品産業や飲料製造設備に使用されます。

高温設備: 高温での使用が求められる熱交換器やボイラーの部品に適しています。

SUS836Lは、SUS836の耐食性を持ちながら、低炭素化によって溶接後の耐食性がさらに強化されたステンレス鋼で、高い耐食性や耐熱性が求められる過酷な環境で広く使用されます。