SUS312Lとはなんですか?
SUS312Lは、オーステナイト系ステンレス鋼の一種で、耐食性や耐熱性を強化した材料です。通常のSUS312に比べて、低炭素(Low Carbon)を示す「L」が付いているため、炭素含有量が低いのが特徴です。低炭素化により、溶接後の耐粒界腐食に対する耐性が向上しています。
SUS312Lのようなステンレス鋼は、一般的にクロム(Cr)とニッケル(Ni)の含有量が多く、これにより強力な耐食性が得られます。また、オーステナイト系ステンレス鋼は耐熱性も高いため、高温環境下でも安定した機械的性質を発揮します。
SUS312Lの特徴:
低炭素含有量: SUS312Lは、炭素含有量が少ないため、溶接や熱処理後に炭化物が析出するのを防ぎ、耐粒界腐食(溶接熱影響部での腐食)に対して高い耐性を持ちます。
優れた耐食性: 高いクロム含有量によって、酸化環境や酸性環境での耐食性が優れています。特に、塩化物腐食に対して強く、化学プラントや海洋環境で使用されます。
強度と耐熱性: 高温環境下でも強度が保たれ、酸化や腐食に対する耐性が高いのが特徴です。SUS312Lは、高温環境での使用に適しており、長期間の高温曝露に耐える能力を持っています。
加工性と溶接性: 低炭素のため、溶接が容易で、溶接後の耐食性も高いため、複雑な加工が必要な場面でも使用されます。
主な用途:
化学プラント: 耐食性と耐熱性が求められる環境での配管や容器に使用されます。特に、塩化物や酸に強い特性を持つため、腐食性物質を扱うプラントに適しています。
海洋構造物: 塩水に対する耐食性が優れているため、海洋環境や船舶の部品に使用されます。
排気システムや熱交換器: 高温下で使用される設備や、酸化や腐食にさらされる部分に適しています。
食品加工装置: 高い耐食性を活かして、食品産業でも使用されることがあります。
SUS312Lは、SUS312の耐食性や耐熱性をベースに、低炭素化によって溶接後の腐食耐性が強化された材料で、特に高温や腐食性環境での使用に適しています。