SUS317J1とはなんですか?

SUS317J1は、SUS317に銅(Cu)を添加したオーステナイト系ステンレス鋼です。銅の添加により、特に非酸化性酸(硫酸やリン酸など)に対する耐食性が強化され、さらに加工性も向上しています。これは、SUS317と同様にモリブデン(Mo)が多く含まれ、優れた耐食性を持つ材料ですが、銅の効果により、特定の腐食環境や加工条件下での特性がさらに改善されています。

SUS317J1の特徴:

銅の添加による特性向上: 銅(Cu)の添加により、非酸化性酸に対する耐食性が強化されています。特に、硫酸やリン酸などの腐食性の高い酸に対して、通常のステンレス鋼よりも優れた耐食性を発揮します。

高い耐食性: モリブデン含有量が高いため、SUS316や他の標準的なステンレス鋼に比べ、塩化物による腐食(孔食や隙間腐食)に対して非常に強いです。塩水や化学薬品を扱う環境においても優れた耐食性を発揮します。

加工性: 銅を添加することで、冷間加工や熱間加工の際の成形性が向上しています。これにより、複雑な形状の製品でも加工が容易になります。

溶接性: SUS317J1は良好な溶接性を持ち、溶接後も耐食性が維持されるため、溶接が必要な構造物にも適しています。

主な用途:

化学工業: 強い酸性環境での使用に適しており、特に硫酸やリン酸を扱う設備で使用されます。反応器やタンク、配管などに使われることが多いです。

海洋構造物: 高い塩化物耐性により、海洋環境や塩分が多い場所での使用に適しています。

食品加工設備: 腐食に強いため、食品や飲料の製造に使用される装置にも適しています。

石油・ガス産業: 腐食性の高い環境下での使用に耐えるため、石油やガスの精製設備や配管に使用されます。

SUS317J1は、SUS317の基本的な耐食性をベースに、銅の添加によってさらに特定の腐食環境での性能を向上させたステンレス鋼です。化学工業や海洋環境など、腐食に対する高い要求がある場面でよく利用されます。