SUS321とはなんですか?
SUS321は、オーステナイト系ステンレス鋼の一種で、耐食性と耐熱性を強化した材料です。主な特徴は、チタン(Ti)が添加されていることです。チタンの添加により、溶接や高温環境下での耐食性が向上しています。
SUS321の特徴
耐食性:SUS321は、特に高温環境での耐粒界腐食に優れています。高温での溶接時に炭化物が析出しやすくなることがステンレス鋼の問題点ですが、チタンを添加することで、炭化物の形成が抑えられ、耐粒界腐食(溶接後の腐食)を防ぎます。
耐熱性:チタンの添加により、SUS321は高温での酸化や腐食に強く、800〜1500°F(約427〜815°C)の高温環境でも安定した性能を発揮します。このため、長時間の高温曝露を受ける用途で使用されます。
機械的性質:SUS321は、他のオーステナイト系ステンレス鋼と同様に、高い強度と延性を持っていますが、高温環境での強度保持能力が強化されています。
主な用途
航空機やエンジン部品:高温環境で使用される部品に適しているため、航空機のエンジンや排気システムで使われます。
熱交換器:高温下での耐食性が求められる環境に適しています。
排気システム:自動車や産業機器の排気ガスが高温になる部分に使用されます。
化学工業:高温で腐食性の高い化学物質を扱うプラントで使用されることがあります。
SUS321は、特に高温環境での耐粒界腐食に対する耐性が求められる場合に有効なステンレス鋼です。チタンの添加によって、溶接後の腐食問題を大幅に改善しており、長期間の高温曝露を受ける環境で多く使用されています。