SUS890Lとはなんですか?

SUS890Lは、オーステナイト系ステンレス鋼の一種で、特に耐食性と耐熱性に優れた材料です。**低炭素(L: Low Carbon)**を示す「L」が付いており、炭素含有量が低く、溶接後の耐粒界腐食が抑えられています。

SUS890Lの特徴:

高耐食性: SUS890Lは、**高いクロム(Cr)とニッケル(Ni)**の含有量に加え、**モリブデン(Mo)**を含むため、塩化物による孔食や隙間腐食に対して非常に高い耐食性を持ちます。特に、腐食性の強い環境や高温環境での使用に適しています。

耐熱性: 高温環境下での使用が可能で、800〜1000°C(約1500〜1830°F)程度の高温でも安定した性能を維持します。酸化や高温下での劣化に対して強いです。

低炭素含有量: 炭素が少ないため、溶接後の炭化物析出が抑えられ、耐粒界腐食に対する耐性が向上しています。これにより、溶接後の部品の耐食性が良好です。

機械的特性: 高い強度と延性を持ち、加工性や溶接性も優れています。高温での強度が高いため、過酷な環境下でも安定した性能を発揮します。

主な用途:

高温設備: ボイラー、熱交換器、反応器など、高温環境で使用される設備に適しています。

化学プラント: 高温かつ腐食性の高い化学物質を扱う設備で使用されます。特に、硫酸やリン酸などの強酸に対する耐性が高いです。

海洋構造物: 高い耐塩分性を持ち、海洋環境での使用に適しています。

SUS890Lは、SUS890の基本的な特性を保持しつつ、低炭素化によって耐食性をさらに向上させた材料で、高温環境や腐食性の高い環境での使用に特に適しています。