Q&A

オロル処理後に折り曲げ加工やプレス加工を行うと、曲げた部分が色ムラのように見える仕上がりになります。
加工自体は可能ですが、意匠面では注意が必要です。

■ 色ムラが生じる理由

オロル処理の発色は、ステンレス表面に形成された非常に薄い不動態皮膜(酸化皮膜)によるものです。
曲げ加工やプレス加工では、

・表面が引き伸ばされる部分

・圧縮される部分

・応力が集中する曲げR部

が発生し、皮膜の厚さや状態が局所的に変化します。
その結果、光の干渉条件が変わり、色調が変化して色ムラとして認識されます。

■ 想定される仕上がりの例

・曲げR部のみ色が薄く見える

・直線部と曲げ部で色が異なる

・光の角度によってムラが強調される

といったケースが一般的です。

■ 推奨される加工順

高い意匠性が求められる場合は、
曲げ加工・プレス加工 → 表面仕上げ → オロル処理®
という工程順を基本とすることをおすすめしています。

やむを得ずオロル処理後に加工を行う場合は、

・色ムラが生じることを前提としたデザイン

・曲げ部が目立たない構成

といった設計上の配慮が必要です。

オロル処理後であっても、ロウ付や溶接といった加工は、SUS素材と同様に問題なく行うことが可能です。
加工そのものに支障が出ることはありません。

ただし、加工を行った部分の色は必ず変化します。

■ 色が変化する理由

オロル処理の発色は、ステンレス表面に形成された不動態皮膜(酸化皮膜)の膜厚によるものです。
ロウ付や溶接では局所的に高温が加わるため、

・不動態皮膜が破壊・再形成される

・皮膜厚が変化する

・表面状態が変わる

といった現象が起こり、処理前の色調は維持されません。

■ 想定される仕上がり

・ロウ付・溶接部のみ色が変わる

・熱影響部が帯状に別の色になる

・元の色が失われ、無発色または黒ずんだように見える

といった仕上がりになるケースが一般的です。

■ 対応・加工順の考え方

意匠性を重視する場合は、

ロウ付・溶接 → 表面仕上げ → オロル処理®
という工程順を推奨しています。

やむを得ずオロル処理後に加工を行う場合は、加工部の色変化を許容する設計、または再処理の検討が必要になります。

組み合わせ部品(複数のパーツを組み立てた状態の製品)にオロル処理を行った場合、全体を通して完全に均一な色調表現はできません。
各パーツごとに、色味がわずかに異なって見える可能性があります。

■ 色差が生じる理由

オロル処理の発色は、ステンレス表面に形成される不動態皮膜の膜厚による光の干渉現象です。
組み合わせ部品では、

・部品ごとの材質差・ロット差

・表面仕上げ(研磨状態、粗さ)の違い

・薬液との接触条件や流れの差

といった要因が重なり、各パーツで皮膜の成長状態が微妙に異なります。
その結果、同一色指定であっても、完全に同じ色調にはなりません。

■ よくある仕上がりの傾向

・パーツごとに色の濃淡がわずかに異なる

・光の当たり方で色差が強調されて見える

・正面からは揃って見えても、角度によって差が出る

といったケースが見られます。

■ 対応・考え方

意匠性を重視する場合は、

単品ごとの処理を前提とする

組み立て後に目立たない構成にする

色差を「風合い」として活かすデザインにする

といった考え方が有効です。
均一な色調が必須の場合は、オロル処理の特性を踏まえた適用可否の検討が必要となります。

オロル処理を行った場合、溶接部分は母材(周囲の部分)と色が変化する傾向があります。
その結果、

・色が綺麗に発色しない

・周囲と色味が異なる

・ムラのように見える

といった現象が生じることがあります。

■ 色差が生じる理由

溶接部は、

・高温による金属組織の変化

・合金成分の偏り

・表面状態(酸化・凹凸)の違い

が発生しており、母材とは不動態皮膜の成長条件が異なります。
オロル処理の発色は、この不動態皮膜の膜厚による光の干渉現象であるため、皮膜の成長が均一でない部分では色差が現れやすくなります。

■ よく見られる仕上がりの傾向

・溶接ビード部のみ色が沈んで見える

・熱影響部(HAZ)が帯状に異なる色になる

・同じ色指定でも、溶接部だけ別色に見える

といったケースが一般的です。

■ 対応・対策について

意匠性が重要な製品の場合は、

・溶接後の研磨・均し処理

・表面状態を揃えるための前処理

・溶接位置を目立たない構造設計

などにより、色差を軽減できる場合があります。
ただし、完全に母材と同一の色調に揃えることは難しく、事前の理解と評価が重要となります。

オロル処理による寸法変化は、ほぼ発生しないとお考えいただいて問題ありません。
オロル処理は、ステンレス鋼表面の不動態皮膜(酸化皮膜)を成長させる処理であり、皮膜の厚さは約0.1~0.3μm(ミクロン)程度と非常に薄いため、寸法精度に与える影響は極めて小さいのが特長です。

また、発色は皮膜厚による光の干渉現象であり、色によって皮膜が極端に厚くなることはありません。
そのため、色の違いによる寸法差も基本的には生じません。

■ 電解研磨を併用する場合の注意点

ただし、電解研磨後にオロル処理を行う場合には注意が必要です。
電解研磨は表面を溶解除去する処理のため、条件や形状によっては、

約50~100μm程度、寸法が小さくなる可能性があります。

この寸法変化は、オロル処理そのものによるものではなく、電解研磨工程に起因するものです。

■ 高精度部品への適用について

高い寸法精度が求められる部品や嵌合部については、

・電解研磨の有無

・要求公差

・使用目的

を事前に共有いただくことで、適切な処理条件や工程の組み合わせをご提案することが可能です。

オロル処理の発色は、めっきや塗装のように別の物質を表面に付着させているものではありません。
ステンレス鋼そのものの不動態皮膜(酸化皮膜)を成長させることで発色しているため、日常的な使用環境においては、密着性の面で特に問題はありません。

■ 剥がれや異物混入について

オロル処理は、塗膜やめっき皮膜のように

・層が浮く

・剥がれ落ちる

・粉状になって脱落する

といったことが起こりにくく、剥離による異物混入の心配がないのが大きな特長です。
そのため、衛生性や安全性が求められる分野でも評価されています。

■ 使用環境による注意点

一方で、オロル処理の発色層は非常に薄い酸化皮膜で構成されています。
そのため、

・繰り返し強く擦れる部分

・硬い物との接触や衝撃

・エッジ部への集中した力

などが加わると、皮膜が削られ、色が薄くなったり、剥げたように見える場合があります。
これは、色が「剥がれた」というよりも、酸化皮膜そのものが摩耗した状態です。

■ 適した用途について

オロル処理は、

・意匠性

・耐食性

・衛生性

を重視する用途に適しており、激しい摩耗や衝撃が常時加わる部位には注意が必要です。
使用環境や用途によっては、設計段階での工夫や、事前の評価をおすすめしています。

オロル処理の基本カラー(色)数は全23色です。
ただし、オロル処理は単に「色の種類」だけでなく、表面の仕上げ状態によって見え方が大きく変わるため、実際の表現バリエーションはさらに広がります。

■ ORORUシリーズによる表情の違い

オロル処理は、素材の表面仕上げに応じて、以下の4シリーズを展開しています。

ORORUⅠ:光沢あり
 鏡面に近い仕上がりで、色の鮮やかさと発色のコントラストが際立ちます。

ORORUⅡ:半光沢
 光沢を抑えつつ、色味はしっかりと感じられるバランスの良い仕上がりです。

ORORUⅢ:光沢なし
 落ち着いたマット調の質感で、上品で重厚感のある印象になります。

ORORUⅣ:半光沢・指紋がつきにくい仕上げ
 半光沢の質感を保ちながら、指紋が目立ちにくい特長があり、意匠性と実用性を両立しています。

同じ色であっても、シリーズが異なることで、光の反射や色の深みが変わり、まったく違った印象になります。

■ 表面仕上げによるバリエーション

オロル処理は、

・ヘアライン仕上げ

・エンボス加工

といった既存の表面テクスチャーにも対応可能です。
表面の凹凸や筋目によって光の反射が変化し、色味に奥行きや立体感が生まれます。

■ 黒色表現について

オロル処理における黒色は、前処理としてブラスト処理を施すことで表現します。
ブラスト処理によって表面の反射を抑えることで、

ゴールド系 → 黒寄りの深い色調

ブルー系 → 黒みを帯びた落ち着いた色調

といった仕上がりが可能になります。
完全な「塗装の黒」とは異なり、光の当たり方によって微妙な色味の変化を感じられるのが特長です。

オロル処理は、最大で 3,030 × 1,220 × 450mm までのサイズに対応可能です。
比較的大型の部材やパネル、立体物にも処理ができるため、建材・設備部品・意匠部材など、さまざまな分野で採用されています。

ただし、製品の形状・重量・数量によっては対応可否や処理条件が異なる場合があります。
詳細につきましては、都度ご相談・お打ち合わせの上で対応させていただいておりますので、事前にお問い合わせください。

■ 形状による注意点

オロル処理は、基本的にどのような形状でも発色が可能ですが、処理原理上、いくつか注意点があります。

・処理は薬液に浸漬して行うため、

・内部に空気が溜まる構造

・袋状・深穴・密閉に近い形状

といった場合、その部分には薬液が十分に行き渡らず、不動態皮膜が成長しないため発色しません。

その結果、

・色ムラ

・無発色部分の発生

が生じる可能性があります。

■ 対策について

形状によっては、

・吊り方や治具の工夫

・穴あけ・抜き構造の検討

・処理方向の変更

などにより、発色性を改善できるケースもあります。
意匠性が求められる製品については、事前に図面や製品情報をご共有いただくことで、最適な処理方法をご提案いたします。

オロル処理は多くのステンレス鋼に適用可能ですが、鋼種によって発色の可否や色の幅に違いがあります。
これは、ステンレス鋼の成分や金属組織の違いにより、不動態皮膜の成長の仕方が異なるためです。

■ オーステナイト系ステンレス(SUS304、SUS316など)

オーステナイト系ステンレスは、オロル処理に最も適した鋼種で、全般的に処理が可能です。
不動態皮膜が均一に成長しやすく、膜厚のコントロールもしやすいため、安定した発色と幅広いカラーバリエーションが得られます。
意匠性を重視する用途や、色の再現性が求められる製品に多く採用されています。

■ フェライト系ステンレス(SUS430など)

フェライト系ステンレスもオロル処理は可能ですが、発色できる色は限定的になります。
これは、オーステナイト系に比べて不動態皮膜の成長が穏やかで、膜厚の変化幅が小さいためです。
そのため、淡色系や落ち着いた色調が中心となり、鮮やかな色合いの再現は難しい傾向があります。

■ マルテンサイト系ステンレス(SUS410、SUS420など)

マルテンサイト系ステンレスについては、処理自体は可能な場合もありますが、黒っぽくなる傾向があります。
これは、炭素量が多く、組織構造の影響で酸化皮膜が均一に成長しにくいため、干渉色として明確な色調が現れにくいことが理由です。
そのため、意匠目的でのカラー表現には適さないケースが多く、事前の評価やテスト処理が重要となります。

オロル処理は、ステンレス鋼(SUS)が本来持つ不動態皮膜を成長させる表面処理技術です。
酸化力の強い特殊な薬液を用いることで、ステンレス表面に自然に形成されている酸化皮膜を、均一かつ安定的に厚く成長させます。

通常、ステンレス鋼の表面には約10nm(ナノメートル)程度の非常に薄い透明な不動態皮膜が存在しています。この皮膜があることで、ステンレスは高い耐食性を発揮しています。

オロル処理では、この不動態皮膜をさらに成長させ、膜厚が約100nm前後になると、人の目には「色が付いた」ように見える状態になります。

しかし、実際に顔料や染料で着色しているわけではありません。
見えている色は、皮膜そのものの色ではなく、光の干渉現象によるものです。

成長した透明な酸化皮膜に光が当たると、

・皮膜表面で反射する光

・皮膜内部を通り、金属表面で反射して戻ってくる光

これらの光が重なり合い、特定の波長の光が強調されることで色として認識されます。
この現象を干渉色と呼びます。

身近な例としては、シャボン玉や油膜が挙げられます。
シャボン玉の膜自体は透明ですが、光が当たると虹色に見えます。
オロル処理もこれと同じ原理で、透明な薄膜と光の相互作用によって発色しているのです。

このため、オロル処理の発色は

・表面に異物を付着させない

・膜が剥がれない

・ステンレス本来の耐食性を損なわない

といった特長を持ち、意匠性と機能性を両立した表面処理として活用されています。

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